現行の日本の診断基準とされているものは、日本肥満学会の提案した「内臓脂肪症候群」を、日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会など7学会から選出された14人の委員で構成された「メタボリックシンドローム診断基準検討委員会」(14人の委員のうち8人は日本肥満学会の役員)が約1年間かけて検討して承認し、2005年4月8日に日本内科学会総会で発表したものである。内臓肥満を必須項目とし、その基準は臍レベル腹部断面での内臓脂肪面積100cm2以上とした。ただし内臓脂肪面積を直接測定する事は健康診断や日常臨床の場では容易ではない為、腹囲の測定により代用し、男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断する。しかし、できれば腹部CT撮影等により内臓脂肪面積を精密に測定する事が望ましいとした。ただし、内臓脂肪面積の基準値を男女混合で決めて、そこから男女別に腹囲基準値を決めたのは論理的に誤りであり、その後の、内臓脂肪面積も腹囲も一貫して男女別に検討した複数の研究では、全く異なる数値が提唱されており(例えば、NTT・京都大学グループの研究では内臓脂肪面積の最適基準値は、男性100平方cm、女性65平方cmとなった)、各方面から、日本肥満学会に対して、この基準を撤回する事が求められている。 しかし、2007年10月19日、日本肥満学会は、久山町研究やその他の最近の多くのエビデンスを無視して、腹囲基準値を修正しないと発表した。
そして、放射線を浴びせて内臓脂肪面積を測定することの臨床的有用性を検証したデータが皆無であるにもかかわらず、経済産業省と大阪大学グループとN2システム株式会社が、産官学共同で内臓脂肪面積計算ソフトを全国の病院に販売して、2007年9月現在既に、5億1600万円の売上げを上げており、厚生労働省の特定保健指導がこのメタボ商法を支援する構図となっている。
内臓脂肪面積の測定は、その臨床的有用性が確立していないので、患者にその旨を説明し、放射線を浴びせること費用がかかることへの同意を得たうえで、あくまで研究目的で施行すべき検査である。ところが、目下、メタボリックシンドローム診断基準検討委員会の「CT撮影等により内臓脂肪面積を測定する事が望ましい」とした勧告を受けて、全国で、臨床レベルでの内臓脂肪面積測定が横行しているのである。したがって、メタボリックシンドローム診断基準検討委員会とそれに迎合した厚生労働省の倫理的責任は重大であり、看過できない。 |