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メタボリック症候群:診断基準

メタボリック症候群診断基準(日本人)
世界糖尿病連盟(IDF)基準(2005年)
腹囲男性90cm、女性80cm以上が必須。

・血圧130/85mmHg以上。
・中性脂肪150mg/dL以上。
・HDLc男性40mg/dL、女性50mg/dL未満。
・血糖100mg/dL以上。
上記の4項目中2項目
日本肥満学会(JASSO)基準(2005年)
腹囲男性85cm、女性90cm以上が必須。

・血圧130/85mmHg以上。
・中性脂肪150mg/dL以上またはHDLc40mg/dL未満。
・血糖110mg/dL以上。
上記の3項目中2項目以上。

※2006年から2007年にかけて、この基準が不適切であるとするエビデンスが集積してきている。

改訂NCEP-ATPIII基準(2005年)
・腹囲男性90cm、女性80cm以上。
・血圧130/85mmHg以上。
・中性脂肪150mg/dL以上。
・HDLc男性40mg/dL、女性50mg/dL未満。
・血糖100mg/dL以上。
上記の5項目中3項目以上。

腹囲をCRPに置換した提案(2006年)
改訂NCEP-ATPIIIの腹囲をCRP0.65mg/L以上に置換したもの。この提案は、病気としての肥満症の本質は、見かけの肥満や身体計測上の脂肪量または内臓脂肪量そのものではなく、脂肪細胞の肥大・壊死とそれを冠状に取り囲むマクロファージという病理学所見およびそれに伴う炎症とインシュリン抵抗性である、という最近の知見に基づいている。

2007年に、アメリカ糖尿病学会、アメリカ栄養学会、北米肥満学会は混乱する腹囲基準値に関して共同声明を発表し、現時点では、腹囲の基準値はすべて、科学的根拠が不十分であり、今後確立される科学的基準値は人種別、性別、年齢別、肥満度別の非常に複雑なものになるであろうと指摘した。

最近の研究では、これらの診断基準には互いに大きな不一致が見られ、2つの診断基準の間の一致度は、男性で平均40%、女性で平均50%であり、IDF基準に協調して作ったとされるJASSO基準とIDF基準の間の一致度は、男性で30%、女性で40%であり、5つの診断基準全てで一致したのは、男性15%、女性20%だったと報告されている。

 


メタボリック症候群の診断基準検討委員会の問題点

現行の日本の診断基準とされているものは、日本肥満学会の提案した「内臓脂肪症候群」を、日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会など7学会から選出された14人の委員で構成された「メタボリックシンドローム診断基準検討委員会」(14人の委員のうち8人は日本肥満学会の役員)が約1年間かけて検討して承認し、2005年4月8日に日本内科学会総会で発表したものである。内臓肥満を必須項目とし、その基準は臍レベル腹部断面での内臓脂肪面積100cm2以上とした。ただし内臓脂肪面積を直接測定する事は健康診断や日常臨床の場では容易ではない為、腹囲の測定により代用し、男性85cm以上、女性90cm以上を内臓脂肪型肥満と診断する。しかし、できれば腹部CT撮影等により内臓脂肪面積を精密に測定する事が望ましいとした。ただし、内臓脂肪面積の基準値を男女混合で決めて、そこから男女別に腹囲基準値を決めたのは論理的に誤りであり、その後の、内臓脂肪面積も腹囲も一貫して男女別に検討した複数の研究では、全く異なる数値が提唱されており(例えば、NTT・京都大学グループの研究では内臓脂肪面積の最適基準値は、男性100平方cm、女性65平方cmとなった)、各方面から、日本肥満学会に対して、この基準を撤回する事が求められている。 しかし、2007年10月19日、日本肥満学会は、久山町研究やその他の最近の多くのエビデンスを無視して、腹囲基準値を修正しないと発表した。

そして、放射線を浴びせて内臓脂肪面積を測定することの臨床的有用性を検証したデータが皆無であるにもかかわらず、経済産業省と大阪大学グループとN2システム株式会社が、産官学共同で内臓脂肪面積計算ソフトを全国の病院に販売して、2007年9月現在既に、5億1600万円の売上げを上げており、厚生労働省の特定保健指導がこのメタボ商法を支援する構図となっている。

内臓脂肪面積の測定は、その臨床的有用性が確立していないので、患者にその旨を説明し、放射線を浴びせること費用がかかることへの同意を得たうえで、あくまで研究目的で施行すべき検査である。ところが、目下、メタボリックシンドローム診断基準検討委員会の「CT撮影等により内臓脂肪面積を測定する事が望ましい」とした勧告を受けて、全国で、臨床レベルでの内臓脂肪面積測定が横行しているのである。したがって、メタボリックシンドローム診断基準検討委員会とそれに迎合した厚生労働省の倫理的責任は重大であり、看過できない。


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